あてのない旅の物語−プロローグ(出発を前に)

2000年3月10日4時15分自宅
荷物 出発日、午前4時。まだ起きている。実は、今日もバイトがある。4時半から6時過ぎまで。予定では、7時27分の電車に乗る。いや、別に乗らなくても何の支障もない。所詮は一人旅。7時27分の電車に乗ることと5日間で帰ってくること以外まったく計画は立てていない。
 荷物も、5日間も旅をするとは思えないぐらいの軽装。毎日、大学に持っていくリュックひとつである。中には、暇をつぶすための本3冊、地図代わりの旅行雑誌2冊、タオル、下着とシャツそれぞれ1日分、財布、携帯電話、腕時計、ハンカチ、ポケットティッシュ、そして旧式のちょっと大きいデジカメ。
 自分でも分かっている。あまりにもこの旅に無理があるということぐらい。真夏ならともかく、いまだ桜も咲かないというこの時期、宿も取らずに見知らぬ土地に行くのである。馬鹿げている。大いに馬鹿げている。しかし、馬鹿げているから楽しい。

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